第4話 「こけし」の思い出 |
その他の作品で、 こけし の絵には思い出がつまっています。 |
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このこけしは、数年前少しだけ暮らしていた土地で親しくなった人達からプレゼントされたものです。 シニアからの田舎暮らしで掲載している場所でのことです。 じいじの療養にと、空気の良い田舎へ越してきましたが、年をとってからの初めての土地はなかなかなじめずに、精神的につらい思いをしていました。 とてもいいところだったのですが、なにせ知り合いもいませんでしたし、小さな子供もいませんし、転勤してきたわけでもありません。 地域の人達と交流するきっかけを見付ける方が大変なくらいでした。 ばあばは、もともとじっとしていられない性分なので、外へ働きにいくことにしました。 そこで出会った人達は、とても気さくなうえ、私達の事情を理解してくれました。 ばあばは、その仕事場へ行くのがとても楽しみになりました。 ランチタイムには、若いOLさんのように、「今日はデザートにプリン食べようかしら」などとちょっぴりきどってみたり・・・♪ その土地で生まれて初めてのカラオケにも行きました。 決して歌が上手な方ではないのですが、声を出して歌うことがこんなに楽しいとは知りませんでした。 しかし、糖尿病の合併症で目の悪くなったじいじに田舎暮らしはつらいものでした。 田舎は車で移動することが必須です。 運転免許はじいじしか持っていませんし、ばあばには運転は恐くて免許をとることなどできませんでした。 そんな私達を心配した子供達が、「こっちにおいでよ」と言ってくれました。 確かに今は楽しい。 でも、あと何年ここで暮らすことができるのだろう? そう思うと、じいじと二人で子供達の元へ越すことに決めたのです。 当然仕事も辞めなくてはなりません。 たった数年の仲間でしたが、涙をこぼしながら、送別会まで開いてくれました。 そして、この絵のこけしをプレゼントしてくれたのです。 今まで見たことのあるこけしの中で、一番温かい表情をしたこけしだと思いました。 あの土地から越してきて既に数年がたっていますが、今でもメールなどで交流をしています。 このこけしの絵は、ささやかながらですが、あの時の仲間へ感謝の気持ちをこめて描いたものなのです。 |
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