背中は夢の中 |
明治、大正、昭和の始め頃までは、赤ちゃんや小さな子供はおんぶして育てたものです。 母親だけではなく、おばあちゃんにもおんぶされて、子供は育って行きました。 おんぶをすると、肩のあたりに子供の顔がちょうどきて、「まあちゃんや」などと子供に話しかけることができます。 すると子供はうれしそうに笑います。 母親やおばあちゃんの大きな背中のぬくもり、目を開けばやさしいほほえみがそばにある、そんなあたたかさをおんぶは与えてくれました。 子供はすぐそばにある母親やおばあちゃんの耳元に話をすることもできました。 そして、おんぶをすることで、母親と子供の目線が同じになることが、より一層親子の絆を深めることになっていたのです。 あの時代は、おばあちゃんやおじいちゃんが一緒に住んでいるのはごく当たり前で、いろいろな世代が同居しながら、それぞれの世代を知り、受け継いできました。 一つの家庭に子供も多く、上の子が下の子の面倒を見ます。 母親やおばあちゃんではなく、上の子が下の子をおんぶして、兄弟同志同じ目線で語り合い、助け合って生きてきたのです。 あの頃を思い出すと、母親の背中、おばあちゃんやお兄ちゃん、お姉ちゃんの背中におんぶされたことは、かけがえのない思い出であり、心の宝物として生きつづけているのを感じます。 もう一度子供になって、親の背中におんぶされ、耳元でお話してみたいとかなわぬ夢をみてしまいます。 母親の背中は、まるで、メリーゴーランド。 ああ、夢よ、もう一度!人生戻れるものなら、またあの温かい背中のぬくもりを味わいたい。 |
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