ちょっとお話:電気 じいじ&ばあばホームへ

実際にあったかどうかはわかりませんが、電気にまつわるこんな話を聞いたことがあります。

明治時代の頃、田舎から何十時間もかけて東京へ出かけた若者がいました。
うわさでは、東京はずいぶんと華やかだと聞いたからです。
東京についてからあたりを見まわすと、確かに服装も建物の形も田舎には無いものばかりでした。
若者は夢中になって、あちこち歩きまわりました。
あっという間に夜になり、近くにあった宿に泊まることにしました。
すると夜だというのに、昼間のように明るいのでした。
宿の人に聞くと、それは電気というものだということを知りました。
これなら夜でも本がゆっくり読めると若者はうれしくなりました。

次の日、若者はおみやげに電球と電線を買いました。
田舎のみんなにこのすばらしいものを見せてあげたくて、そのまま田舎へ戻りました。
田舎につくと、若者は村の人をみんな集めて、夜になるのを待ちました。

そして暗くなった頃に、若者をみんなにこう言いました。
「さあ、今から昼間のように明るくしてみせるよ」
若者はカチッと電球のスイッチを入れました。
しかし、いくら待ってもさっぱり明るくなりません。
そこに集まっていた人達は一体どうしたんだとザワザワしはじめました。

若者は首をかしげながら、電球や電線を何度も見たり、さわったりしながら言いました。
「実は電気といって、夜でも昼間のように明るくなるものを東京で見てきたんだ。もしかしたら、ここは東京から遠いからかもしれない。もう少し待って見よう」
それから数時間たってもさっぱり明るくなりません。

ばからしくなった人達は、みんなそれぞれの家へと帰っていきました。
その後、若者はどうしても納得がいかなかったので、もう一度東京へでかけました。
すると、電気というものがその田舎には通っていなかったことがわかりました。

今では、コンセントやスイッチだけで便利な電化製品を使うことができますが、こんな時代もあったんでしょうね。

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