ちょっとお話:自動車 じいじ&ばあばホームへ

今、自動車と言えば、タイヤが四つあるのが当たり前ですね。
昭和三十年代は、オート三輪車が出回っていました。
街の中に三輪の一トン車、二トン車が走っていても特に珍しくありませんでした。
その頃運送屋さんではこんなやりとりがあったとかなかったとか。

「三輪の一トン車で引越しをお願いします」
すると運送屋さんは、確認しました。
「ええと、三輪ではなく四輪でよろしいでしょうか?」

「いいや、四輪ではなく、三輪でお願いします」

「あの、なぜ三輪にこだわるのですか?」

「はい、予算が無いので、なるべく安くすませたいので……」

「ええと、三輪も四輪も値段は一緒で、一回4,000円です」

「あの、三輪でいいので、タイヤが一つ少ない分、3,000円にしていただけないでしょうか?」
お客さんが真顔で言うと、運送屋さんは急に笑いだしました。

「す、すみません。タイヤの数は関係ないんですよ。一トン車は一トン車ですから、運べる荷物の量は同じですし」

お客さんの顔が急に真っ赤にそまっていきました。
「あ、ああ、そうですよね。タイヤの数は関係ないですよね。ははは」

「しょうがないですねえ、お客さんおもしろいから、3,000円でいいですよ。ははは」
「あ、ありがとうございます。助かります!ははは」

物は無かったかもしれないけれど、何だか昔は、明るく笑いあって生きていたような気がします。

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