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先日、姪の結婚式に行ってきましたよ。
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ああ、どうだった。私は、身体の調子が悪くて長旅が出来ないんだ。一緒にいけなくてすまないねえ。
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いいえ、楽しかったですから。
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ところで、どうだった結婚式は。
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ええ・・・
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何かあったのか?
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ええ、姪のお父さんが来てたって、姪のお兄さんが言ってたの。
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お父さんって、もう随分前に亡くなっているじゃないか。
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ええ、他の人は見てないし、みんな見間違いだって言ってたけどね。
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そうか・・・
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それから・・・花嫁に花束贈呈のシーンを持って行ったデジカメで撮ろうとしたんだけど、急にカメラが動かなくなったのよ。よくわからなくてあちこち押してみたんだけど、壊しちゃったのかしら。
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そうかあ、それは残念だったね。そうだ、話しは変わるけど、今朝寝苦しいから涼しい場所へ移動して一人で寝ていたら夜中の2時頃目が覚めて・・・男が立ってたんだ・・・びっくりして見ていたら、スーッと台所のゴミ箱の方へ行って消えてしまったんだ。この家には何か霊がいるのかなあ?
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えっ?!ゴミ箱・・・もしかしたら・・・
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なんだよ?何か知ってるのか?
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・・・恐くてじいじには言わなかったんだけど・・・実は、昨日例のデジカメを撮れてる分だけでも印刷したの。そしたら・・・結婚式前に撮っていたほかの写真はきれいに印刷されていたんだけど、撮れているはずのない花束贈呈シーンが印刷されて・・・
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・・・それから
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その隅っこの方に青白い光があって、よく見たら・・・
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・・・よく見たら
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姪のお父さんの横顔だった・・・と思う。
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・・・それでその写真はどうしたんだ。
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ええ、でもそんなはずはない、きっと何かの光り加減でそう見えるだけだと思いなおして、デジカメの中の写真は全部消してしまったの。それに、印刷した紙はゴミ箱へ・・・
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ゴミ箱って、台所の?
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ええ。普通のネガのある写真とちがって印刷した紙だったから、思わず捨ててしまったのよ。
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きっと、そのせいだな。
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じいじは霊感が強いのかもしれないわね。ごめんなさい、黙って捨てたりして・・・
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それじゃあ、今日のゴミ収集で捨ててしまったのか・・・。
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ええ、そうね・・・姪のお父さん、ごめんなさい・・・
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ああ、知らないとは言えすまなかったねえ。決してうらまないでくださいな。
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姪のお兄さんの話しといい、きっとお父さんは娘の結婚式を見に来たのね。
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そうだな。きっとそうだよ。もし、わたしだったらやっぱり死んでも見に行くと思うよ。
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そうねえ、本当に不思議なことってあるものですねえ。お父さんは、娘さんのこと見守っていてくれますね。
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ああ、そうだな。
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そうだ、デジカメ壊したことまだ娘に言ってないわ・・・。
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・・・そっちの方が恐いなあ。ははは。
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ふふふ。
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