ペットは家族 じいじ&ばあばホームへ

ばあばの絵を見てても思いますが、動物はかわいいですね。
ペットとして飼うと、かわいいだけではなく、家族にとってかけがえのない存在になっていくような気がします。
私達も随分前は犬を飼っていましたが、今でも時々思い出します。

子供達がまだ小さい頃です。親戚の家で飼っている犬の子供が産まれたということで、早速みんなで遊びにいきました。

産まれたばかりの子犬たちは、小さくて、目がクリッとして本当にかわいらしかったです。
すると、子供達が「子犬が欲しい!欲しい!」と言い出しました。
ちょうど、親戚でも子犬をひきとってくれる人を探していたところだったということで、1匹いただくことにしました。

子供達は大喜びです。子供達はすぐに連れて帰ろうとしたのですが、母親の犬とお別れをしなくてはいけないことと、子犬のお家を用意しなくてはいけないことを伝えて、後日引取りに来ることにしました。

そして後日、子犬を引き取りに行きました。
少し母親の犬が寂しそうな目をしていたのがかわいそうでしたが、子犬と子供達も既に仲良くなっていたので、子犬を車に乗せて、家路に向いました。子犬は車に乗ったのは初めてのようで、窓からキョロキョロ外を眺めていました。

名前は色が真っ黒だったので「クロ」。よくある名前ですね。
クロは雑種でしたが、そんなことは関係ありません。

家についてから、クロの世話係を決めました。
小学生だった長男が朝と夕方の散歩、食事と、全般的に担当することになりました。
それから毎日長男は散歩に食事と世話を休むことなく続けていました。
長男はちょっと落ち着きのない、いたずらっこでしたが、クロに出会ったことで、すっかりおにいちゃんになったようでした。

まだ小さかった次男は、好き嫌いが多かったのですが、クロがおいしそうに食べているのを見て、クロと同じものを食べるといって、嫌いだったものまで食べたりしていました。

私達も長女も、みんなクロをかわいがっていました。そして、みんなクロが大好きでした。

そして、クロが家に来てから、10年くらいたった頃のことでした。

いつもは元気なクロが、すっかり元気の無い顔をしていました。
みんな心配しました。クロがほえるのがうるさいといっては、叱っていたけれど、一番私が心配していたと、みんなは言います。

薬局にいって、栄養剤を買ってきて、飲ませたりとかしましたが、依然元気が無いので、近くの動物病院に連れて行きました。
すると、外で飼っていたため、蚊から犬に繁殖する菌をうつされてしまったとのことです。
もう、あまり長くはないといわれました。

その日から、みんなは少しでもクロに長生きしてもらおうと、栄養剤をあげたり、できるだけ一緒にいてあげようと、外で飼っていたクロを家の中にも入れてあげました。

クロが入っても大丈夫なように新聞紙を広げて道をつくっていたのですが、クロはゆっくりと新聞紙の道からはずれないように歩いて中に入ってきました。
そして、みんなの顔をゆっくり見まわし、しっぽをふりながら、弱い小さな声で鳴きました。

既に力のなくなったクロの目を見ると、涙がこぼれそうになりました。

そして、その日は玄関の中にクロの寝場所をつくり、休みました。

翌朝、クロの様子をのぞいてみると、クロが横たわったまま動きません。「クロ、クロ」と呼んでも、反応しません。
その日、クロは亡くなりました。

涙がでてきました。そして、居間でひとり泣いていました。
すこしすると、他の家族も起きてきました。私の様子を見て、みんな「まさか、クロが・・・」と、クロのところへかけよりました。
クロは、みんながいくら呼んでも、動きません。
放心状態の家族みんなと、しばらくしてからクロにやわらかい布をかぶせてあげました。
子供達が生き物の死に直面したのも、クロの死が初めてでした。
生きているものには必ず死が訪れることを、子供達も身をもって体験したようでした。

そして、クロのいない、誰も口を開こうとしない、静かな一日が過ぎていきました。

クロは、いたずらっこで、きかんぼうでしたが、私達にやすらぎや微笑みを与えつづけてくれました。
時々、道端でクロに似た犬を見かけるたび、クロといた頃の懐かしい思い出がよみがえります。

「言葉は通じなかったけれど、クロからいろんなことを教わりました。そして、楽しい思い出をたくさんくれてどうもありがとう。」

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