それゆけ!ハットマン |
ぼくは、泣き虫の味方、ハットマンです! お風呂に入るのを嫌がっている子供がいないかと、毎日あっちこっち、かけめぐっています。 そろそろハットマンの出番の時間も近づいてきたので、これからタクちゃんのおうちに様子を見に行ってみようかな。 えーっと、タクちゃんのおうちはこの辺だと思ったけど・・・ えーっと・・・ あれ?何か泣き声が聞こえるね。 「ママ、いやだ!いやだ!いやだよ〜!」 「ママがシャンプーが目に入らないようにしてあげるから、目を閉じて、口を閉めて、ちゃんとママの言うとおりにするのよ」 「ママ、いやだ〜!目が痛いよ〜!ヤメテー!ゲホッ、ゲホッ!お口にお湯が入るよ〜!」 「ちゃんと口を閉めなさい!何手をばたばたさせているの?少し黙ってらっしゃいな。」 「ママ〜、やめて〜!目がいたいよ〜!」 「何泣いているの?男の子でしょう?少しガマンしなさい!」 その時玄関の方でピンポーン、ピンポーンと音がする。 「あら、誰かしら?どなたですか?」 「はい、私はハットマンです。」 「ええ?ハットマンって何をする人ですか?私のところでは押し売りはお断りしてます。」 「奥様、ハットマンはシャンプーが目にしみたりして、泣いてお母さんを困らせている子供を泣かないようにしてあげるお仕事をしております。ここを通ったら、あまりにも大きな泣き後家が聞こえてきたので、これではお母さんが大変だろうと思って立ち寄らせていただきました。よろしければ、タクちゃんがシャンプーしていても目がしみたり、口にお湯が入ったりしないようにいたします。あっちやこっちのおうちでも大変喜ばれておりますよ。ハットマンはお母さんの味方ですし、これからはタクちゃんもお風呂に入るのが毎日楽しみになるよう、お手伝いさせていただきたいのですが。」 「・・・それでは、ハットマンにおまかせしようかしら。」 「さあ、タクちゃん、ハットマンだよ!ハットマンはタクちゃんの大好きなお友達になれるように頑張るよ。」 そういって、ハットマンはタクちゃんの頭にハットをつけました。 するとタクちゃんは「ぼく、この帽子気に入ったよ!これをつけたら、目も痛くないし、口にもお湯が入らないよ!」とうれしそう。 「そうさ、ハットマンがきたからもう大丈夫!ハットマンはタクちゃんの味方だよ。それじゃあ、頭を洗うよ。」 「うん、ハットマン」 「どうだ!ゴシゴシ!目にシャンプーが入らないか?」 「うん、大丈夫!目にシャンプーは入らないよ!」 「どうだ!ゴシゴシ!口にはお湯が入らないか?」 「うん、大丈夫!口にもお湯が入らないよ!」 「どうだ!シャンプーするのは?」 「もうぼくへっちゃらだよ!シャンプーするの大好きになったよ!」 「そうかよかったね。今度からはお母さんにハットをつけてもらってね。」 「うん、お母さんにハットをつけてもらうよ。ありがとう!」 「そうか、じゃあこれでお母さんも安心だね。それじゃあ、ハットマンは次のところへ行かなくてはならないから。タクちゃんいい子でね!」 「うん、ハットマン、さようなら〜!」 「ママね、ハットマンが来てくれてほんとうに助かったわ。」 「うん、ぼくもハットマンが大好きだよ」 ハットマンは今日もシャンプーが嫌で泣いている子供のいるお家へいくのでした。 |
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