それゆけ!ハットマン5 |
「おかあさん!おかあさん!おかあさん!おかあさ〜ん!!どこにいるの〜!おかあさん、いるの〜!?」 「はいはい、いるわよ。何をあわてているの?タダシも12才になるんだから、少し落ち着きなさいな。」 「何もあわててないよ〜。おかあさんが返事しないから、何度も呼んだだけでしょう!!」 「・・・それで、どうしたの?」 「ああ、そうだ忘れてた!あのね、あのさ、あの〜・・・」 「何よ、早く言いなさい」 「あのね、タケちゃんのところにね・・・」 「どうしたの、早く言ってちょうだい!おかあさん忙しいんだから!!」 「じゃあ、いいよ」 「何よ、途中まで言ってて気になるわね」 「だって、おかあさんはタダシがお話するとすぐうるさがるんだから!!」 「そんなことないわよ。で、何よ話って」 「うん、タケちゃんのところに、今ハットマンが来ているんだよ!」 「ハットマン?!それは変ね。タケちゃんだって、タダシと同じ12才なのにまだハットマンのお世話になっているの?」 「ちがうよ!」 「何がちがうの?」 「タケちゃんのところに弟がいるでしょう?弟のところにハットマンが来たんだよ!!」 「タケちゃんやタケちゃんのお母さんも弟のマー坊がお風呂入るの嫌だ嫌だって言ってて、相当困っていたらしいよ。それにハットマンがきてくれなくちゃ嫌だよ!なって言ってたらしいからね。だから今ハットマンがきてくれて、大喜びなんだよ!ハットマンもそんなうわさを聞きつけてやってきたらしいよ。」 「ここの家かな、お母さんを困らせているマー坊がいるのは・・・。こんにちは!」 「ん?誰だろう?」マー坊は玄関まで走っていって聞いた。 「どなたですか?」 「こんにちは、ハットマンです。」 「えーうそだ〜!!」 「本当です。ハットマンです。」 「ほんとう?」 「はい。マー坊がぼくの助けを待っているって聞きつけたんだよ。」 「そうかあ、じゃあ開けるよ」 カチャッ。 「うわ〜!!ハットマン!?本当にハットマンなの?」 ハットマンはにっこり微笑み、うなずきました。 「やっぱりそうかあ!!わ〜いハットマンがきてくれた〜!!だってね、マー坊さあ、ハットマンと一緒じゃないとお風呂入るの嫌だもん。頭を洗うと目がしみるし、お口にお湯が入るしで・・・苦しかったんだよ。」 「そうか、大変だったね。でももう心配することないよ。ほら、ここにハットマンがいるだろう。」 「うん!!」 「ほら、おかあさんもおにいちゃんもニコニコしてよろこんでいるよ。マー坊もうれしいかい?」 「もちろんだよ!!マー坊昨日もハットマンの夢を見たんだよ!!ハットマンがマー坊の頭をいいこ、いいこしてくれたんだ。それで少し心強くなったんだ!!」 「そうかあ、じゃあ、マー坊、一緒にお風呂に入ろうか」 「うん」 「じゃあ、これをつけてごらん。いいか、頭を洗うぞ。ゴシゴシ。どうだい?」 「うん、ハットマンが来たからもうマー坊泣かないよ!それに強くなったんだ!」 「そうだよ、ハットマンが来たからには、もう泣くこともないよ。おかあさんだって安心するね。」 「うん、マー坊、強いもん!強いんだよ!」と自慢しながら、おかあさんの方をみた。 おかあさんはほっとして言った。「本当に良かったわ。これもハットマンのおかげだわ。これからもハットマンをたよりにしていくことでしょう。」 それを聞いてハットマンも安心して、また次の弱虫の子がいるところへと向うのでした。 それゆけ!ハットマン! 次は君のところへいくかもしれないよ! 決してあきらめないで待っててね! |
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