それゆけ!ハットマン8 |
「あれ?なんだ?何か空を飛んでるよ!」 「えっ!本当だ!なんだ?」 「鳥にしちゃあ、おかしいなあ」 「こんな田舎に飛行機なんてきたことねえし。」 「オッ、だんだん近づいてくるぞ!」 気が付くと、静かだった田舎の町が、いつのまにか人だかりでいっぱいになっていました。 あっちでもこっちでも、「なんだ、なんだ」と大騒ぎしています。 この田舎にこんなに人がいたとは思えないほどの賑わいです。 すると向こうの方に住んでいる山田さん家のおばちゃんも人だかりの中にやってきて言いました。 「ああ、あれはひょっとしたらハットマンと違うか?」 周りにいた人達はその言葉に驚いて言いました。 「え〜、まさか〜。ハットマンがこんなところまでくるわけないべえ。」 山田のおばちゃんは首を大きく横に振って言いました。 「そんなことないよう、田舎にだってハットマンが大好きな子供達がたくさんいるからねえ。ハットマンだってくるべさ。」 山田のおばちゃんの言葉を聞いて、集まってきた人々が騒ぎ出しました。 「そうだよ、私だってハットマンの大ファンだよ〜。子供だけじゃなくて、孫だってハットマンのお世話になってるんだ。えらい助かってるよ〜。」 「おらも、大ファンだよ〜!」 「おらも」 「私も」 みんなが騒いでいると、だんだん空を飛ぶものが近づいてきました。 「あっ、やっぱりハットマンだ!」 「本当だ!」 とみんな大喜びです。 「でも、なんでこんなとこまできたんだい?」 「ハットマンは、困ってる子供がいればどこへでも行くんです。だから、毎日あちこちと飛びまわって忙しいですよ。」 「ところで今日はどこの家へ行くんだい?」 「ええ、今日は2歳になったマーちゃんのところへ行くんです。」 「あ〜、マーちゃんとこかい?マーちゃんは今は昼寝でもしてるんでないの?」 「お〜、そうかもしれないなあ。確かにマーちゃんはいつもハットが無いとお風呂はいやだ!ってだだをこねてるみたいだしな。」 「そうそう、マーちゃんは、ハットマンが大好きなんだよねえ。ハットについてるハットマンの顔を見てホッとして喜んでるみたいよ。」 「そうですかあ、ハットマンのこと大好きでよかったです。それでは、とりあえずマーちゃんの家へ行って、マーちゃんが起きるのを待ってみます。」 マーちゃんの家へ行くと、やはりマーちゃんはお昼寝をしていたので、マーちゃんの寝顔を見ながらハットマンは待っていました。 すこしたつと、マーちゃんが目を覚ました。 マーちゃんは、目の前にハットマンがいるので、変だな?とキョトンとしていました。 そして、キョロキョロとあたりを見まわして、「ママ〜」と呼びました。 「どうしたの?マーちゃん」 「あれ」とハットマンの方を指差しました。 「なあに?」 「あれ、ハットマンだよ〜!」 「エッ?どこに?」とママはさも驚いたふりをしました。 「ママちゃんといるでしょう。あそこにハットマンがいるよ〜!」 ママは「あら、何で?本当にハットマンだわ。」とわざとらしく驚いたふりをしました。 「ママは、ハットマン来てたの知らなかったの?」 「うん、ママ今初めて知ったわ。マーちゃん、よくわかったね。」 「うん、だってハットマン大好きだもん。ハットマン、マーちゃんの頭キレイキレイしてくれるの?」 「ああ、マーちゃんの頭をキレイキレイにしにきたんだよ。マーちゃん、うれしいかい?」 「うん!今ねハットマンと空を飛んでいる夢をみてたんだよ!」 「そうか、どうりで気持ち良さそうに寝ていたもんね。」 「うん!夢が本当になった!だってここにハットマンいるんだもん!マーちゃんうれしいよう!ママ〜、早くお風呂入りた〜い!」 「そうね、ハットマンも忙しいから、ママすぐにお風呂の用意してくるからね。ちょっと待っててね。」 「うん!」 「ハットマン、マーちゃんがあんなに喜んでて本当に良かったわ。どうもありがとうございます。いつも、パパと話してるんですけど、ハットマンの力はすごいねって。」 「そうですか?」 「ええ、だって子供に夢や希望を与えてくれるでしょう!ハットマンのおかげでわたしたちもかなり助かってるもの。」 「それはうれしいお言葉ありがとうございます。」 「じゃあ、そろそろお風呂に入るかな?マーちゃん」 「うん、入る!早く早く!ハットマン、一緒だよ!マーちゃんから離れちゃイヤよ!」 「ハハハ、心配しなくていいよ。マーちゃんは優しい子だからハットマンは大好きだよ。」 「へへへ」 「じゃあ、頭を洗うよ、マーちゃん、いいかな?ほらハットをつけて」 「うわ〜、まるでUFOみたいだあ。かっこいい!」 「ほおら、ゴシゴシ。マーちゃん気持ちいいかな?」 「うん、いい気持ちで眠たくなってきた。」 「ハハハ」 「ハットマン、今日はマーちゃんのところにとまってくの?」 「う〜ん、とまっていきたいけど、次の子供達が待っているからあんまり長くはいられないんだ。」 「そんなあ、マーちゃんは少しでもハットマンと一緒にいたいよ!」 「ごめんね、また今度くるから、約束だよ。」 「うん、わかった、マーちゃんいい子で待ってる!」 「本当にいろいろとありがとうございました。」 「いえいえ、喜んで頂いてこちらもうれしいです。突然伺ってしまいおじゃましました。今日はこれで失礼いたします。」 「ハットマ〜ン!どうもありがとう!!」 静かな田舎に突然やってきたハットマン。 今日も困っている子供達のところへ向うのでした。 次は君のところかもしれないよ。 それゆけ!ハットマン。 |
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