さよなら、田舎暮らし じいじ&ばあばホームへ

いろんなことがありましたが、立ち去ることになると結構さびしいものでした。

私の身体の具合があまり良くなく、車の運転が必須のこの町では暮らして行くには厳しいものがあったため、田舎を出ることに決めたのです。

越してきたばかりの頃には、背の高さほどしかなかったの木も手を伸ばさなくては届かないほどに成長しました。

越してきたばかりの頃に何もない庭に植えたつつじやバラの木もすっかり一人前の顔して庭に並んでいます。

門から玄関先までの道のりを囲んだ花達もすっかり根を張って次の春を待っているようです。

冬になるとやってくる白鳥や渡り鳥たちの声。

冬が終ると咲き乱れる花々。

駅前の見事な桜並木。

よそ者の私達に親切にしてくれた人達。

ずっと住んでいるにはきっといいところでしょう。

そして、そんな思い出と荷物をまとめ家を去ろうとしたときです。
いつもはラフな格好をしているおじいちゃん・おばあちゃんたちが、パリッとした白いシャツを着て、私達の家の前に十数人も立っていました。

何事かとびっくりしていると、私達に向って、「お元気で」と声をかけてくれました。

「短い間だったけど、ようやってくれた。お元気で」

思いもかけないことだったので、涙がこぼれそうになりました。

よそ者扱いされているとばかり思っていたのですが、1年間町内の班長として一生懸命に頑張っていたことを認めてくれたのでしょう。
さようなら、田舎暮らし。

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