都会はキビシイ |
私はアリの現太と申します。 現太の父から受け継いだ家計図によりますと、なんと数万年、いえ、もっとその前より、今の場所に住んでいることがわかりました。 でも、最近なぜか、この付近にコンクリートの道路が出来、大きなコンクリートの家が建ち並び、私達の住む場所がなくなってきたのです。 私達の仲間の中で、人間様にこの場所を売った覚えもないというし・・・ なぜ私達の住みかを勝手に奪い取ってしまったのだろうか? おじいちゃんのずっと前のご先祖様の言い伝えによると、ここは次の世代、次の世代と、守りつづけねばならない!と教えられてきているのに、私達は大変困っております。 先日も頭の上のほうで大きい杭が打ち込まれ、大きな機械が入ってきたりで、私達も突然のことにビックリ!! このままではもう生きて行く事も出来ません。 別の所へ行かねば大変だ!、他に皆で住むところないか?と大勢で列を作って歩いております。 すると、人間様が、「ああっ、大変だ!アリの大群だ!」と言って、足でふんだり・・・ 「早く!早く!殺虫剤を持ってこい!」とか大騒ぎ! 別の所を探していただけなのに、仲間がたくさん悲しいおもいをしたのです。 もう二度とこんな目にあわせないで下さい! 私達アリが先に住んで楽しい日々をおくっていたのです。 先祖様もここは空気もいいし、眺めもいいし、この地を大事に守っていくのが一番と信じて疑わなかったのに。 私達にはもう行く所もないし、あてもないし、この先どうすれば良いのかね? 私達アリ家族はここで終わりなのか? そう思ったら悲しくなるし・・・ 今や雨がふっても、水は地にしみることはないでしょうね。 私達の住んでいた所はコンクリートの家が建ちもうこの場所での明るい夢はない。 情けない。 人間様よ、アリ達家族も生きている。 だれか助けて!といっても、どこへ聞こえるわけでもないし、生きる厳しさに今日もかなしさでいっぱいです。 こんなせつないアリの声が人間様に届くことを願ってます。 |
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