村の宝物が花開く |
そこは、山奥深いところで産業という物は特にない小さな村でした。 若者たちは街へ行き、残った人達は年寄りばかりでした。 次から次へと出て行く若者たちの姿を見て、一人のおばちゃんが、これじゃこの村には夢も希望もないと悲しみました。 そこでなんとかこの村へ若者が戻ってきて、村人が楽しく働けるところを作らなければならないと考えました。 そうしないと、この先村はなくなってしまうだろうと思いました。 ここは年寄りたちが立ち上がって、村を生き生きとした姿に変えなくては!自分だって、まだまだ捨てたものじゃない!あと10年は働けるだろうと決意しました。 何も無い村かもしれないが、この村全体が宝の山だと、おばあちゃんは常日頃感じていました。 当たり前になってしまった村の宝物を皆に気づかせなくてはならないと考えました。 毎日、毎日、おばあちゃんは山の中を見渡してみると、本当にすばらしいところだと実感しました。 この村へ他から人を呼び込まなくてはと思い、おばさんが花の苗を自分の家から何本も持ってきて道端に植えなんとか一年くらいたった頃、花が一面に咲き、まあと自分なりにおどろいたが、まだまだ!とあと十年もたてばこの村も花一面になるだろうと気をひきしめました。 3年もたった頃よそから来た人が、この村は花がいっぱいで気が休まるねぇと一声かけてくれた。 この話しを聞いた村人は、そうかあのおばさんが毎日花で我々を楽しませてくれたが、なんでわざわざ道端に植えているのかわかりました。 村人は、「そうか皆でこの村全体を四季に関係なく花でうめればいいんだ!」と口々に云うようになりましたた。 おばさんが一人で10年と思っていた花植えも、村人たちの手も増えたため、なんと6年で村全体をうめつくすこととなりました。 そして、よそから人々が村へ村へと押し寄せるようになり、「この村は1年中花でいっぱいで花を見ていると心が休まるね」と言ってくれました。 しかし、その反面「この村は花以外なにもないね」と言う人がふえてきました。 おばちゃんは「そうか元気のいい人で茶店でもやってくれるといいね」と思いました。 そのおばあちゃんの心を知ってか、すぐに商売好きな人が茶店を始めました。 すると、予想通りお客様がたくさんきました。 商売を始めた村人も、「これじゃ一人ではできない。忙しい。忙しい。」と言えば、「それじゃ、あたしらも」とまわりの人が手伝いはじめるのでした。 そのうち、おみやげ屋さんとか、山でねている廃材でいすやテーブルをつくり、廃校になった小学校を民宿や老人のいこいの場にしていきました。 おばあちゃんと村人達の努力で、1年中花ざかりで、人がいっぱい集まるようになりました。 そして、村人はだれに言われなくても、村全体を掃除してきれいにしました。 おばちゃんは「この花の村の運営は村の人がやれば、村の人たちの仕事が増えるなあ。そうすれば若者は街に出て行くことがなくなり、年寄りたちと仲良くせっせと働くことができるなあ。」とうれしくなりました その後も、村人たちは協力しあい訪れる人に感謝の気持ちいっぱいで働きました。 徐々に若者が村にもどり、都会の人たちも「田舎暮らしだ、永住だ」と言ってはやってきました。 この村の人たちは自分が努力すれば、必ず明日への道が切り開かれていくことに気づき、仕事によろこびを持ち、せっせと村のため、人のため、自分のために汗をかくことに喜びを持って感謝の気持ちでいっぱいです。 今日も花でいっぱいの村でみんなはがんばっています。 |
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