はすの一言 じいじ&ばあばホームへ
「春が来るのが楽しみなんだ。」
この沼へ色々な人々がため息をもらしながら話している。
「ああ、この沼を見ていると心がほっとするねえ。白鳥や色々な渡り鳥が北に向って旅立って行く日もそろそろだねえ。これが過ぎるとまたこの沼一面にハスの花が咲くんだねえ。楽しみだねえ。」

しかしそんな中、浮かぬ顔をしてこんなことをつぶやいた人がいた。
「ハスもなんだか息苦しそうだね。見てごらん、沼の周りにゴミが目立つようになってきている。美しいハスの花を見れるのもあと何年あるか・・・」

そして誰に話すでもなく、続けてつぶやいていた。
「秋にはレンコンだ!おいしい!とみんな喜ぶが、平気でゴミを捨てて行く。私達の仲間でゴミ拾いをしたり、ゴミを捨てないように呼びかけているのだが・・・。ちょっと目を離したときには、ゴミが捨ててあるんだ。」

その時だった、沼の方から小さな声が聞こえてきた。
「お願い!私達を助けて!きっとキレイな花を咲かせるから、きっとおいしいレンコンになるから。」

人々は、一瞬息を呑んだが、誰からというわけでもなく、みんなでゴミ拾いをし始めたということだ。

そしてその年は例年以上に美しいハスの花を沼一面に咲かせたそうだ。

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