カメのまあちゃん |
ぼくはまあちゃんといいます。 まあちゃんが朝目が覚めたとき、おかあちゃんの姿が見当たりません。 「どこへ行ったのだろう・・・」 数日たってもおかあちゃんは帰ってきません。 「おかあちゃん、おかあちゃん」と叫び、探しつづけますが、見つかりません。 まあちゃんは、もっと遠くへおかあちゃんを探しにいくことにしました。 歩いて歩いて半日くらいたった頃、カエルさんと出会いました。 そこでカエルさんに尋ねると、こう答えました。 「ああ、見たことあるよ。ここから3時間くらいほど歩いて行くと、君みたいな背中をした仲間がいっぱいいたよ。」 まあちゃんは、カエルさんに言われたとおり、3時間くらい歩いて行きました。 すると、たくさんの仲間がいました。 まあちゃんはきっとこの中におかあちゃんがいるに違いないと思いました。 たくさんいる仲間を一人一人声をかけていきますが、だれ一人返事をするものはいません。 なんでみんな返事もしてくれないかと思うと、悲しくて涙が出てきました。 まあちゃんはたまらなくなっておかあちゃん、おかあちゃんと叫び続けました。 そこへ一人の男の人がやってきました。 「おい、何やってるんだ!」 まあちゃんはびっくりして答えました。 「おかあちゃんをさがしているんだ。」 男の人は言いました。 「何?ここでおまえのかあちゃんを探してるのか?こんなところにいるわけがないだろう。」 まあちゃんは、泣きながら言いました。 「だって、こんなにいっぱい仲間がいるのに、誰も返事してくれないんだ。」 男の人はあっけにとられて言いました。 「仲間って、ここはパイナップル畑だぞ。おまえさんのような仲間はここにはいないよ。」 まあちゃんは、よくよく辺りを見まわしました。 「あれ?ぼくの仲間ではないの?パイナップルっていうの?」 男の人はこれ以上つきあってられないという感じで歩き出しました。 まあちゃんは途方に暮れて、ゆっくり歩きはじめました。 カエルさんには、パイナップルとまあちゃんがそっくりに見えたらしいのです。 さみしそうに歩くまあちゃんの後ろ姿の甲羅は、確かにパイナップルに似ていました。 |
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