歯車 じいじ&ばあばホームへ
まさしはテレビに釘付けだった。
お母さんは、何をそんなに真剣に見ているのかと、テレビをのぞいてみた。
その番組は、時計台の中をいろいろと紹介しているものだった。

小学生になったばかりのまさしも、もう5年生。
ただ遊ぶだけではなく、物の仕組みとかに興味が出てきたのだろう。
お母さんは、成長したまさしを目を細めて見つめた。

「ねえお母さん、歯車って不思議だね。ギシッ、ギシッとお互いかみ合って動いているんだもの。」
まさしが急に話しかけてきた。

「そうねえ、こんな大きな時計を一生懸命動かしてるんだものね。すごいねえ。」
お母さんも、あらためて歯車のすごさを噛み締めるように答えた。

「歯車って一つでも無くなったら、やっぱり動かなくなるのかな?」
まさしくんがぽつりとつぶやく。

「かみ合ってるから、大きな力が出るんだろうね。どれ一つ無くても動かなくなると思うよ。」

「そっかあ、じゃあ歯車って、家族と同じだね。」
まさしは、お母さんの方に顔を向けてニコリとした。

「ど、どうして?」
それまでテレビから目を離さなかったまさしが、急にお母さんの方を向いたのでちょっとびっくりした。

「だって、まさしの家は、みんな仲良しだもの。きっと、みんなで力を合わせて頑張っているからだよね。」

「その通りかもしれないねえ。もし家族の中の一人でも不満ばかり言ったり、手を抜いたりすれば、うまくいかなくなるんだろうね。」
お母さんは、まさしの言葉にうなずいた。

「お母さん、この時計台の歯車ってすごいんだよ。作られてから一度も止まったことないんだって。」
「へえ、すごいのねえ。家もずっと仲良しでいられるように歯車を見習わなくてはね!」
「うん!」

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