みんなに会いたい |
久しぶりに子供たちの顔をみたいと思って、生まれた町へ帰ってきた。 あれ?すっかり様子が変わっている・・・ しかし、何だか暗いなあ、お天気でも悪いのかなあ? そう思いながら見上げると、大きなビルでいっぱいだった。 うん?これじゃあ、さっぱりわからないなあ。 たしか、この辺に住んでいたはずだけど・・・ あっちへウロウロ、こっちへウロウロ歩き回っていたら・・・ そこを歩く人たちが変な顔をしてジロジロ見ている。 あっ、言い忘れてましたが、私は決してあやしいものではありません。 以前このあたりに住んでいたものです。 たしか、この辺でも一番大きな・・・ しかしわたしの言うことなど誰も聞いていなかった。 みんな忙しそうに、怖い顔をして足早に通り過ぎていく。 わたしは途方に暮れてしまった。 子供たちは一体どこへいってしまったのだろう? 心配でたまらない。 もしも、こんな大きなコンクリートの建物の下に押しつぶされていたら・・・ そう考えると涙がこぼれてきた。 オーイ、オーイ、わたしは帰ったぞ〜! 叫んでみるが、返ってくるのは、わたしのコダマだけ。 もう二度と会えないのかと思うと、一人夢を追いかけて飛び出したあの日のことを後悔してしまう。 みんなの笑顔や笑い声、もう一度聞きたかった。 都会になってしまったコンクリートの道をトボトボと一匹のアリがどこ行くあてもなく歩いていた。 ずいぶん前にこの辺でも一番大きなアリの巣がつぶされて、大きなビルが建ったことも知らずに・・・ |
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