仲良く暮らしたい じいじ&ばあばホームへ
「せっかく住み心地が良くなったと思ったけど、やっぱり人間さまには嫌われるね」
と、青虫のゲンさんがぼやいていた。

それを聞いたとんぼのマーちゃんは
「ゲンさん、なぜ嫌われるの?」
と聞いた。

「うん、お母さんがここなら安全な食べ物がいっぱいあるからと、移り住んで来たんだ。キャベツもおいしいし、新鮮だし、体にも良いんだ。他の場所では、頭からくさーい薬をかけられて息苦しくなるんだって話だよ。そこでやっとこの場所を見つけたんだって・・・」

そこへ人間がやってきてつぶやいた。
「ああ、これじゃあ売り物にならないなあ。全くこんなに虫に食われてしまってどうしようもないなあ」

「ほらね、やっぱり人間さまには嫌われるみたいなんだ」

「そうか・・・」
トンボのマーちゃんは、困った顔をしながらつぶやく人間の顔を見て、それ以上は言えなくなってしまった。

「さてと・・・また引越ししないと。そりゃあ人間さまだっておいしくて、新鮮で、体に良いキャベツを食べたいよね」
青虫のゲンさんは、そう言いながら、さみしそうに草ムラの方へと移動していきました。

トンボのマーちゃんは、広いキャベツ畑の上を飛びながら、人間と青虫が仲良く暮らせるといいなあと願った。

そこへ大きな鳥がマーちゃんめがけて飛んできた。
マーちゃんはとっさによけた。

「フーッ、危なかった!・・・やっぱりみんなが仲良く暮らすことって難しいのかな・・・」
そう言いながらマーちゃんは、そそくさと森の中の生い茂る葉の中へ身を隠した。

青く大きな空には大きな鳥がクルクルと獲物を狙って旋回している。

とある田舎のほのぼのとした風景なのに、みんな必死に生きていた。
本当はみんな仲良く暮らしたいのにね。

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