みつばちとおばあちゃん |
わたし、みつばちのユーちゃん。 お散歩してると、おばあちゃんによく会うの。 そのおばあちゃんは、ユーちゃんに「おはよう!」って声をかけてくれるの。 ユーちゃんとおばあちゃんはそれから会うたびにニコニコとあいさつするようになったの。 今日は、おばあちゃんを少し驚かせようと思って、こっそり後をつけておばあちゃんの家へ忍び込んだの。 おばあちゃんは、ユーちゃんには全く気づかないみたい。 アッ、お散歩中におばあちゃんが言ってたパソコンがあった! そうだ、おばあちゃんは、パソコンで絵を描くのが趣味だって言ってたよね。 ここに隠れていれば、おばあちゃんを驚かすことできるかな。 ユーちゃんは、パソコンの裏側にこっそりと身を隠した。 しばらくするとおばあちゃんがやってきてパソコンのスイッチを入れた。 ユーちゃんは、パソコンで絵を描こうとしていたおばあちゃんに気づいてもらおうと、こっそり横から顔を出した。 いつ気づいてくれるかと思うとドキドキするユーちゃんだった。 しかし、おばあちゃんは首をかしげながら、「あれ?今日は目がおかしいのかな?」と言っていた。 ユーちゃんは一瞬とまどって後ろにスッと隠れた。 「何か見えた気がするのよね。目が疲れてるのかしら?まあ、気のせいね」 おばあちゃんは、気を取り直して、絵を描き始めようとした。 今度はユーちゃん声をかけてみた。 「ねえねえ、おばあちゃん」 さすがに、おばあちゃんはびっくりしてあたりを見回した。 すると、ようやくパソコンの横からチョコッと顔を出しているユーちゃんがいるのがわかった。 「あら、ユーちゃん遊びに来てくれたの?」 といつもの優しい笑顔のおばあちゃん。 ユーちゃんは、おばあちゃんが喜んでくれてとてもうれしかった。 「ユーちゃん、ほらこれでいつも絵を描いているのよ」 とパソコンで描いていた絵を見せてくれた。 ユーちゃんがのぞき込むとその絵は、野原に色とりどりのお花がいっぱいいっぱい咲いていた。 ユーちゃんがいつも飛び回っている野原の花畑そのものだった。 ユーちゃんは思わずパソコンの中へ飛び込もうとしてコチッとぶつかってしまった。 「おばあちゃんの絵があんまりきれいでユーちゃん間違っちゃった」 おばあちゃんは少し照れたようだった。 「それにしてもおばあちゃんすごいねえ!花のかおりまでしてきそうだよ。すごいよ!すごいよ!」 「そんなにほめてもらったら何かお礼をしなくてはね。ユーちゃんお腹がすいたでしょう。一緒に昼食でもどう?」 とおばあちゃんはうれしそうに言った。 おばあちゃんはパンを焼いて、ユーちゃんが集めてくれたハチミツを塗った。 ユーちゃんはいいかおりのするパンを一口食べた。 「うわー、これハチミツだよね。いつもよりもっとおいしいよ。おばあちゃんって本当にすごいね!」 「ありがとうね、いつもユーちゃんが一生懸命に集めてくれたハチミツとってもおいしくいただいてるのよ」 「そういってくれると、ユーちゃんもこれからもっとがんばれるよ!」 外が少し暗くなってきたので、ユーちゃんは帰ることにした。 「おばあちゃん、また遊びに来てもいい?」 おばあちゃんはやさしい笑顔でうなずいた。 「これ、おとうさんとおかあさんにおみやげだよ」 ユーちゃんは、ハチミツがたっぷり塗られたパンをたくさんもらった。 ユーちゃんはおばあちゃんの手作りの小さなリュックサックにパンを詰めた。 ちょっと重かったけど、おばあちゃんのやさしさたっぷりのおみやげなので、がんばって持って帰ることにした。 「おばあちゃん、今日はとても楽しかったよ。どうもありがとう!」 手をふって見送るおばあちゃんを少し振り返りながらユーちゃんはおうちへ帰っていった。 おうちへ帰ると、おとうさんとおかあさんが心配そうに待っていた。 「ユーちゃん、遅かったわね、大丈夫?」 「うん、仲良しのおばあちゃんのところへ遊びにいっていたの。それより、これおばあちゃんからおみやげだよ!」 リュックを開けると、ハチミツのいい香り! おとうさんもおかあさんもおいしくパンをいただいた。 食べ終わったおとうさんとおかあさんは顔を見合わせて言った。 「わたしたちのハチミツ、こんなにおいしくなるのね。これからもがんばらなくてはね!」 ユーちゃんもうなずいた。 ユーちゃんが疲れてスヤスヤと眠り始めるとこんな夢を見た。 おばあちゃんがパソコンできれいな絵を描いている。 おとうさんとおかあさんがセッセとハチミツを集めている。 みんなに喜んでもらいたいと思って、おばあちゃんもおとうさんもおかあさんもそしてユーちゃんもがんばってるんだね。 ユーちゃんの寝顔はいつになくニコニコしていた。 それを見ていたおとうさんとおかあさんもうれしそうだった。 |
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