田舎のおじいちゃんとおばあちゃん じいじ&ばあばホームへ
ユメちゃんは、夏休みに電車に乗っておじいちゃんとおばあちゃんのところへ遊びに行きました。
といっても、一人で行くにはまだまだ小さかったので、おとうさんとおかあさんと3人で出かけていきました。

おじいちゃんとおばあちゃんのお家は遠い遠い山の中にありました。
電車を降りてからもずっとずっと歩いて、山を登って、ようやくたどりつきました。

おじいちゃんとおばあちゃんのお家の横には、マキがたくさん積んでありました。
それを見たユメちゃんは、おかあさんに聞きました。
「ねえ、おかあさん、このマキでごはん炊いたり、お風呂沸かしたりするんだよねえ」

「あら、よく知ってるわねえ。そうよ。ユメちゃんのお家では電気やガス、水道という便利なものがあるけど、おじいちゃんとおばあちゃんのところまでは通ってないからねえ」
「おじいちゃんとおばあちゃんってすごいねえ」ユメちゃんはうれしそうに言いました。
「そうよ、おじいちゃんとおばあちゃんは、もうずっと昔からこういう生活をしているのよ」
ユメちゃんは今6才、来年小学生になります。
それまでも何度かおじいちゃんとおばあちゃんのところへ遊びにきたことがあるけれど、そんなふうに考えたことはありませんでした。
いつもニコニコとユメちゃんをかわいがってくれるおじいちゃんとおばあちゃんがとてもすごい存在だと改めて気がつきました。

そう思うと、早くおじいちゃんとおばあちゃんの顔を見たくて、お家の周りを探し始めました。
すると、裏でご飯支度をしている二人を見つけました。
「おじいちゃんー、おばあちゃんー!」
ユメちゃんは手をふりながら近づいていこうとしました。

すると、ゴチッと鈍い音がしました。
おじいちゃんが頭を抑えて痛そうにしていました。
ユメちゃんはびっくりしておじいちゃんのところへ駆け寄りました。
「おじいちゃん、大丈夫?」
「おお、ユメちゃんか、大丈夫だよ。ところで今その辺焦げなかったかな?」
ユメちゃんはあたりを見回しましたが、どこも焦げていません。
「いやあ、今頭をぶつけたら目から火が出たから、焦げたかもしれないと思ってなあ」
「まあ、おじいちゃんったら、ははは」
とおばあちゃんや、後から来たおとうさん、おかあさんはみんな笑っていました。

調子に乗ったおじいちゃんは、また軽く頭をぶつけて見せて
「ほら、早く紙で火をつけてくれ!」
とおばあちゃんに言いました。
おばあちゃんは、ユメちゃんの方をチラリと見ながら、おじいちゃんの目のそばへ紙を近づけて見せました。
ユメちゃんは、本当に火がつくのかちょっとドキドキしながら見ていました。

おじいちゃんは何度も軽く頭をたたいてはおばあちゃんが持っている紙に火をつけようとしました。
しかしなかなか火はつきません。
「あれえ、おかしいなあ。今日は火のつきが悪いなあ。これではご飯も炊けないし、お風呂も沸かせないなあ」
おじいちゃんはチラッとユメちゃんの方を見ました。

ユメちゃんは、マキでご飯を炊いたり、お風呂を沸かすことぐらい知っています。
おじいちゃんとおばあちゃんがどうにかしてしまったのではないかと、おかあさんにこっそり耳打ちしました。
「ねえねえ、おじいちゃんとおばあちゃんどうしたの?だいじょうぶかな?」

おかあさんは、ニコッと笑って言いました。
「ふふふ、おじいちゃんとおばあちゃんはユメちゃんが遊びに来てくれてうれしいのよ。笑ってもらおうと思ってふざけているのよ」
「ふーん、そうなんだ」
するとおとうさんが、ユメちゃんにポケットからマッチを取り出して言いました。
「ほら、これをおじいちゃんに渡してごらん。よろこぶよ」

ユメちゃんは、マッチをおじいちゃんに渡しました。
おじいちゃんは不思議そうにマッチを見つめて聞きました。
「これはなんだい?ユメちゃん」
ユメちゃんは、「これはマッチだよ。おじいちゃんが痛い思いをしなくても火をつけられるから、使ってね!」
おじいちゃんは、びっくりして言いました。
「なにー?これで火がつくとはおどろきだ!都会はすごいものがあるのだなあ。ユメちゃん、サンキューベリーマッチ!」

ユメちゃんは、おじいちゃんがダジャレを言ったのだと気づき、大笑いしました。
ユメちゃんの明るい笑い声で、みんなが大笑いをして楽しいひと時を過ごしました。
ユメちゃんは思いました。
「それにしてもおじいちゃんとおばあちゃんっておもしろいなあ。何にもなくてもこんなに楽しく暮らしてるんだもの」
ユメちゃんは田舎ってただ大変かな?って思ってたけど、また遊びに来ようと思いました。

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