もみじ |
「今日は紅葉でも見に行こうか!」 おじいちゃんとおばあちゃんは、まさおくんを連れて早速山へ出かけました。 山へ着くと、あちらこちらの木々の葉っぱが赤くそまっていました。 おじいちゃんとおばあちゃんは満足そうに話していました。 「きれいですねえ」 「すばらしい美しさだ」 ところが、まさおくんだけは不思議そうに考え込んでいました。 「ついこの間までは、緑色の葉っぱだったのになあ・・・」 そんなまさおくんの様子に気づいたおじいちゃんとおばあちゃんはまさおくんに聞きました。 「どうしたんだい?きれいだろう?」 まさおくんは聞きました。 「ねえ、何で緑の葉っぱが赤くなったの?」 おじいちゃんとおばあちゃんは顔を見合わせてニコリとほほえみました。 そして、おばあちゃんがこう言いました。 「夏は山に涼しさを求め、たくさんの人々が訪れ、じっくり木々や葉っぱを観察していくから、葉っぱも恥ずかしくて真っ赤になってしまうのよ」 まさおくんは、少し考えて見ました。 「そういえば、ぼくも人にじっくり見られるとはずかしくてほっぺがポーッって赤くなるなあ。そっかあ、木さんも葉っぱさんもたくさんの人が来て、あっちこっちの角度から写真撮られたりすれば、恥ずかしいよね」 すると、おじいちゃんが少しいたずらっぽく言いました。 「そうさ、中には人々と宴会をしてお酒を飲んで真っ赤になっている葉っぱもあるんだぞ」 まさおくんはびっくりしました。 「へえ、木さんもお酒を飲むの?酔っ払って倒れたりしないかな?大丈夫かな?」 おじいちゃんとおばあちゃんはハハハと笑い出しました。 まさおくんは、なぜおじいちゃんとおばあちゃんが大笑いしているのかはわかりませんでしたが、何だか楽しくなって一緒に笑いました。 「ねえ、また今度お山に連れてきてね。きっと木さんも誰も来ないとさみしいと思うんだ。緑になったり、黄色になったり、赤くなって、人がたくさん来てくれるようにがんばってるのかもしれないね。」 山の木々がゆらめき、サワサワとうれしそうに音を立てました。 |
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