キャベツのお家 |
おとうさんとおかあさんは、ぼうやの帰りが遅かったのであちこち探していた。 いつも遊びに行く公園、お友達のうち、お気に入りのお花畑など、心当たりのある場所は探してみた。 しかし、ぼうやはどこにもいなかった。 おとうさんとおかあさんは、あちこち探し回るうちに大きなキャベツ畑へたどりついた。 まさかと思いながらも、大きなキャベツ畑の中を「ぼうやー、ぼうやー」と大きな声を出しながら探してみた。 すると、モゾモゾと動いているキャベツがあった。 あれ?気のせいかな?と思ってジッと見ていると、そのキャベツの葉っぱがバリバリと開きはじめた。 そして中から探していたぼうやが出てきた。 「おとうさん、おかあさん!」とうれしそうな顔でこちらを見ている。 おとうさんとおかあさんは、とまどいながらも「どうしてキャベツの中から出てきたの?」とぼうやに聞いてみた。 「ぼくねえ、道に迷って泣いていたの。寒くて、さみしくて泣いていたら、ぼくの声を聞いたキャベツさんがどうしたの?と話しかけてきたの。ぼくの話を聞いて、キャベツさんは少し私のうちで休んでいきなさいと言ってくれたの。 キャベツさんのおうちで少し休んでいたらだんだん身体も温まってきて気持ちよくなって眠ってしまったの。そしたらおとうさんとおかあさんの声が聞こえてきたんだ」 そのとき、「良かった良かった。おとうさん、おかあさんもお茶でもいかがですか?」と声が聞こえてきた。 どこから聞こえるのかわからずあたりを見回した。 するとキャベツの中から顔のようなものがのぞいていた。 キャベツの葉が一枚一枚開いていき、イスやベットのある小さな部屋が見えてきた。 おとうさんとおかあさんは驚きながらも、キャベツさんにお茶をごちそうになることにした。 中に入るととても暖かく、風は入ってこないし、快適だ。 キャベツさんの世界ではこれが当たり前だという。 キャベツの葉一枚一枚が重なり合ってることで、暖房効果や冷房効果、通気性をよくしたり、防犯対策にもなるというのだ。 そして中に入って気づいたが、キャベツのやわらかい緑色が心を癒し、目にも優しい。 また、丸い形が広さを感じさせ、角が無いあたたかい空間を作り出している。 キャベツさんのおうちは何てすばらしいんだと感動した。 無事に帰ってきたぼうやとおとうさんおかあさんは、箱のような殺風景なおうちを見ながら、将来はキャベツのようなお家に住もうねと夢を語り合った。 |
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