すごいパソコン じいじ&ばあばホームへ
今の時代、老若男女問わずパソコンやメールをやっている。
ある町でも、一人のおばあちゃんが、パソコンでメールをやっているようだ。
メール友達もいるらしく、楽しくメール交換をしているようだ。

ある日、おばあちゃんは、しきりにパソコンを見ては悩んでいた。
「どうしたのかしら?メールを送ったのに、なかなか返事がこないわ。何かあったのかしら?」
そういうと、おばあちゃんの姿は急に見えなくなった。

昼下がりの午後、ある家ではおじいちゃんがウトウトと昼寝をしていた。
コトコト、コトコト・・・何か音がする。
おじいちゃんは様子がおかしいことに気が付き、目を覚ました。
すると、目の前に一人のおばあちゃんがいた。
おじいちゃんは気が動転して、一瞬思わず自分がどこにいるのかすらわからなくなった。
「な、何だ!?ここはどこだ?」
すると、おばあちゃんは聞いた。
「ちょっとすみませんが、さちこさんはどちらにおられるのでしょうか?」

「さちこ?!さちこの知り合いですか?」
「ええ、さちこさんとはメール友達なんです。ここ数日返事が来ないのでどうしいるのかと思って、様子を見に来たんです。」
「それにしても、一体どこから入ってきたんですか?」
「いいえ、ちょっと・・・あんまり返事が来ないのでパソコンからおじゃまさせていただいたんですよ。」
「・・・へえ、そうでしたか。それで家の中におられたんですね。」
「ええ、そうです。世の中便利になりましたねえ。ときどき、メール友達の様子を見に伺ってるんですよ。」
「はあ、こりゃあ驚いた!パソコンが便利だとは聞いていたけど、ここまで便利だとは知らなかったなあ。」
「さちこさんはいらっしゃらないようなので、よろしくお伝えくださいね。」
そう言うと、おばあちゃんはパソコンの中へと消えて行った。

おじいちゃんはしばし呆然としていた。
「さちこもパソコンで友達のところへ遊びに行ってるんだろうか?そういえば、この間も急に姿が見えないことがあったけど、もしかしたらパソコンからどこかへ行っていたのかもしれないなあ。」

おじいちゃんは今までのことをいろいろ考えて見ると思い当たる節があった。

「それに、いつのまにか知らない人が座布団に座って笑っていたこともあったなあ。さっきまでお客さんなんていなかったし、誰かが家に来た様子もなかったし、私はとうとうぼけてしまったのかと思ったよ。」
おじいちゃんは自分がぼけていなかったことにちょっと安心した風だった。

「あっ、それから、さちこがすごくおいしい果物をくれたことがあったなあ。買い物いった風でもないし、届け物があったわけでもないのに、一体いつ買ったのかと思ってたけど。今考えて見ると、パソコンのところから果物を出していたなあ。」

おじいちゃんは、こんなにも世の中が進歩したことを驚いている反面、長生きしたかいがあったとつくづく思っていた。

「でも、あれだなあ、もしパソコンからセールスマンとかが突然出てきたら、気味が悪いなあ。それは、勘弁してほしいなあ。」

「ただいま。」

「おっ、さちこ、お帰り。メール友達のおばあちゃんがよろしくって言ってたぞ。」

「あら、そうなの。じゃあ、ちょっと御挨拶にいってくるわ。」
そう言うと、さちこさんはパソコンの中へと消えて行った。

おじいちゃんは、それを見て確信した。
こうやってさちこさんがパソコンでいろんなところへ行ってたこと、そしていろんな人達と出会ったり、いろんな世界を見ることができることで、毎日生き生きとしているんだと。

おじいちゃんはパソコンの前へ立ってつぶやいた。
「パソコンって、すごいなあ。」

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