兄弟がいっぱい |
あ〜、兄弟がいっぱいいるところはうらやましいなあ。 お豆さんは、ひとつのからの中に何粒も入ってるから、うらやましいな。 からの中で何をお話しているのかな? ぼくには兄弟がいないんだ。 ひとりっこなんだ。 兄弟がいるってどんな感じなんだろう? お豆さんは、兄弟と一緒に、お昼はお日様を一緒に見て、夜は涼しげな空を見上げて何を夢見ているのかな? ぼくはひとりっこだから、お話する相手はパパとママだけなんだ。 パパとママは大好きだけど、ちょっとさびしいな。 「何をひとりでつぶやいているんだ?」 突然トウモロコシのおじさんが話しかけてきた。 ぼくはびっくりして黙っていた。 「お豆さんがうらやましいとか、兄弟が多くていいなとか、ぼくはひとりっこだとか、そんなこと言ってたけど・・・どうだい、わたしのところへきてみないか?」 こうして、ぼくはトウモロコシのおじさんの畑へやってきた。 ぼくはただただ広いトウモロコシ畑を見て、おじさんが何を見せたかったのかよくわからなかった。 するとトウモロコシのおじさんは、自分の服を脱いだ。 「ぼうや、よくみてごらん」 ぼくは驚いたよ! そんな驚いたぼくの顔を見て、トウモロコシのおじさんは言った。 「これは全部私の兄弟だよ。」 「え〜、これが全部兄弟?!数えきれないよ!こんなに大勢の兄弟がいるなら、毎日楽しいだろうね。いろいろお話したり、遊んだりできるんだろうね。」 「そうだよ、毎日楽しいよ。」 「兄弟げんかはしないの?」 「けんかねえ、そうだねえ、たまにはあるかもしれないけど・・・」 「じゃあ、けんかってどうやってするの?」 「そうだねえ・・・じゃあこっちへきてごらん」 トウモロコシのおじさんは別のトウモロコシさんのところへ連れて行って、中を見せてくれた。 「・・・」 「どうだい、ぼうや。兄弟仲が悪いとこんなふうになることもあるんだよ。」 それは、歯並びが悪いみたいにガタガタに不ぞろいのトウモロコシの兄弟たちだった。 「兄弟がたくさんいると、こうやってけんかをすることもあるんだ。1人ではけんかできないからうらやましいくらいさ。兄弟がいないからと言って悲しむことないさ。ちゃんとパパやママがいるじゃないの。」 ぼくは、そのときはじめて気が付いた。 兄弟がたくさんいることはうらやましいけど、パパやママがぼくのために毎日頑張ってくれてることを。 トウモロコシのおじさんはさらに言った。 「わたしはね、兄弟がたくさんいることは大変心強いことだと思っているよ。これから先は、兄弟みんなは種になって別々になるかもしれないし、ぼうやのおうちへいくこともあるかもしれないよ。」 「そうなんだ。今はたくさんの兄弟と一緒にいるけど、別々の道を歩むこともあるんだね・・・」 「そうだよ、兄弟がいないからってがっかりすることないさ。でも兄弟っていいもんだよ。」 「ぼくは、ひとりっこでも頑張るよ。 でもやっぱりトウモロコシさんのように兄弟がたくさんいるのはうらやましいな。」 とぼくはほほえんだ。 |
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