みつばちとおじちゃん じいじ&ばあばホームへ
うわ〜、すがすがしい!
とっても広くて、一面のお花畑だあ!
空気もとってもおいしいよ!
このお花もとっても甘くておいしいね!
ここなら、お腹一杯密を吸えるね!
だってこんなにお花がたくさんあれば次から次へと渡り歩けるもの!
ほんと、おいしいっ!
それに見渡す限りのお花のじゅうたん!!
とっても気持ちがいい!
思わず鼻歌が出ちゃうよ!
♪ルン、ルン、ルン、ルン、ルン・・・♪

あっ、そうそう私は蜜蜂のユウちゃん。
私にはたっくさん、たっくさん仲間がいて、毎日毎日、お花からお花へと密を集めるのがお仕事なの。
大変だけど、このお仕事は大好き。
だって、ユウちゃんにはたっくさん仲間がいるし、優しいおじちゃんがいろいろとお世話をしてくれるから、安心して密を集めることが出来るんだ。

アッ、おじちゃんだ。
おじちゃんは今日もトラックに揺られてここにやってきたね。
「さあ、やっとついたよ。みんな身体は大丈夫かな?」
おじちゃんはこうやっていつもユウちゃんたちの身体を気遣ってくれるんだ。
そして、のびのびと飛びまわっているユウちゃんや他の仲間達の姿を見て、「じゃあ、気をつけていってらっしゃい」と声をかけてくれるんだ。
ユウちゃんたちはみんな「おじちゃん、いってくるからねえ!」と広いお花畑の密を集めにいくんだ。

おじちゃんってすごいんだよ。
いろんなところのお花畑を知っているし、おいしい蜜のあるお花のことも知っているんだ。
お花だけじゃなくて、ユウちゃんたちの身体のこともよくわかってるみたいで、いつも心配してくれるんだ。

このお花畑に来たのは数日前なんだけど、しばらくしたらおじちゃんはまたユウちゃんたちの知らないところへ連れて行ってくれるんだ。
ユウちゃんたちにとっては初めて見るところばかりで、いつも今度はどんなところかなと期待や希望でいっぱいに胸を膨らませているんだよ。
おじちゃんのトラックに乗って移動するときは、ゆりかごに乗っているみたいでとても楽しいんだ。

新しい畑につくと、畑仕事をしているおじさんやおばさんがユウちゃんたちがくるのを待っていたみたいで、「おお、今年も蜜蜂さんがたくさんきてくれてうれしいよ。いい作物がたくさんとることができるからね!」と大喜びだった。
こんなに喜ばれると、ユウちゃんたちも農家のおじさんやおばさんたちにとっても役にたっているんだとつくづく感じるよ。
ユウちゃんたちを見ると「蜂だ!蜂だ!」と逃げ回る人達や嫌がる人達もいるけど、別にいたずらしたりしなければみんな優しいんだよ。
ユウちゃんたちは、こうやってあちこちお花のあるところへいくけど、みんな「今年も忘れないできてくれてありがとう!」って言ってくれるんだ。
いえいえ、こちらこそ密をいただいてありがとうってユウちゃんたちは逆に感謝しているんだ。

ユウちゃんたちは、たっくさん密を吸っておじちゃんのところへ帰るんだ。
おじちゃんは「おおみんな帰ってきたな。お帰り。」と向えてくれるんだ。

そう、この間ユウちゃんと仲間5匹でちょっと帰りが遅かったとき、おじちゃんは悲しそうな顔をして遅くまで待っててくれたんだ。
ユウちゃんたちが帰ると、おじちゃんは無事な姿を見てとっても安心していたよ。
ごめんね、おじちゃん。心配かけちゃったね。こうやって、いつもユウちゃんたちのこと心配してくれてるんだね。そんなことわからなかったよ。
ここにくる前の場所で、おじちゃんの知り合いの人とこのあたりは農薬がまかれていたようで、蜜蜂たちの身体が悪くなったという話をしていたんだ。
その話を聞いた後、おじちゃんはユウちゃんたちに身体に気をつけるように言っていたけど、それがどんなことかわかったような気がするよ。

こんなに心配してユウちゃんたちを大切にしてくれるから、集めてきた密をどうするのかと思って、近くのお家の中をのぞいてみたんだ。
そしたら、親子が楽しそうに食事をしていて、ママが子供のパンにハチミツをやさしくつけていたよ。
そして「ぼうや、これは栄養があってとってもおいしいからね。」と話していたんだ。
そして、子供はとってもおいしそうに食べていたよ。
ユウちゃんたちが集めた蜜はこうやって人間達の役にたっているんだって実感したよ。
ますます一生懸命に密を集めて、喜んでもらえるようにがんばらなくては!って思ったよ。

でも頑張りすぎちゃって、時々おじちゃんを悲しませることもあるんだ。
先日も仲間が足をけがして帰ってきて、おじちゃんが驚いて「どうしたの。足をけがしているじゃないか。痛いだろう。」と悲しそうな顔をして優しく足をさすってあげていたんだ。
仲間はおじちゃんに申し訳なくて、「ごめんなさい、木の枝にぶつけちゃったの。」といっていたよ。
そしておじちゃんに悲しい思いをさせないように頑張って足を直して、今では元気にお花からお花へ密を運んでいるよ。

おじちゃんは知らないからナイショだけど、ユウちゃんもちょっと大変なことがあったんだ。
この間のことなんだけど、仕事中にみんなと離れてちょっと足を伸ばしてみたんだ。
そしたら、すごいんだ。
黄色い大きなつぼみたいなお花をつけたカボチャ畑だったんだ。
カボチャ畑をちょっとお散歩していたら、いかにもいたずらっこという感じの子供がいたんだ。
でも気にしないでカボチャの花の中に入ってみたんだ。
びっくりだよ。
まるで、地下深いところへ入るくらい深かったんだよ。
こんな大きなお花だから、どんなおいしい密かと期待しながら味見をしようとしたんだ。
その瞬間、急に真っ暗になったんだ。
びっくりして、あたふたして、出口をさがしていたら、急にグラッとしたんだ。
どうやら、さっきのいたずらっこにお花ごともぎ取られてしまったようなんだ。
このままではもうおじちゃんのところへ帰ることができないなと思ってがっくりしていたんだ。
そしたら、外で話し声が聞こえてきたんだ。
「ママ、カボチャの花に蜂が入ったから花ごともぎとってつかまえたよ!」といたずらっこ。
「何てことするの?!蜂さんがかわいそうでしょう。蜂さんはママの畑に来てくれて、お花からお花へと渡って、カボチャの実がなるようにお仕事してくれているのよ。カボチャの実がなったら、町や市場や家庭に行渡って、ママたちは生きていくことができるのよ。ぼくが学校にいくことができるのも、蜂さんのおかげなのよ。ママたちの宝物をいじめちゃだめでしょう。」といたずらっこのママの声。
「・・・うん、ぼくわかったよ。蜂さんごめんなさい。」
「そうね、蜜蜂さんを飼っているおじさんたちも、自分の顔に真っ黒になるくらい蜂さんをつけて喜んでいるのよ。おじさんたちも、ママたちと同じで、蜜蜂さんのことを大事な大事な宝物と思っているのよ。ぼくだって朝蜂蜜を塗ったパンを食べているでしょう。蜜蜂さんはみんなの役に立っているのよ。仲良くしなくてはね。」といたずらっこのママは優しく言っていた。
そしていたずらっこはユウちゃんを逃がしてくれたんだ。
ママさんのおかげで助かったよ。
だからこうして無事におじちゃんのところへ帰って来れたんだ。
でも、おじちゃんだけでなく、ママさんや、いたずらっこにもユウちゃんたちが役に立っているとわかって、とってもうれしかったよ。また、みんなのために頑張るね。

そんななかとっても悲しいことがあったんだ。
ユウちゃんの仲間のうち2匹が途中で倒れてしまって、おじちゃんのところへ帰ることができなくなったんだ。
ユウちゃんたちはとっても悲しくて倒れた2匹の周りを何度も回って助けようとしたんだけど、もう2匹が動くことはなかったんだ。ユウちゃんたちは、仲間を助けてあげられなくて、「ごめんね、さようなら。」とその場を去ったんだ。
そのことを急いでおじちゃんに知らせたら、涙ぐんで「すまない・・・」といっていたよ。
おじちゃんは本当にユウちゃんたちのことを心配してくれているんだ。
無事にお仕事を終えて帰ってくることを願っているんだって思った。

そんなおじちゃんのもとで今日もお仕事だ!お仕事するのはとっても楽しいな。お仕事するのがとっても楽しいよ。ユウちゃんたちの集める蜜を楽しみにしている人達のためにも頑張らなくてはね!
優しいおじちゃんと一緒に頑張ろう!また次の場所へ夢を持ってね!

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