来年もまたくるからね! |
まさぼう ママ〜 ママ なあに、まさぼう? まさぼう ここの沼はとっても景色がいいねえ。 ママ まさぼう、ここはねえ、パパとはじめて一緒にきた時からとってもいいところだったのよう。 みんなとても親切で、よくきてくれたねえって大歓迎だったのよう。 まさぼう そうなのう。 ママ ええそうよう、それから毎年来てるけど、いつもみんな笑顔で、よく無事できてくれたねえって。 まさぼう ママ〜、今年は去年より数が少ないって言ってるよう。どうしてかな? ママ そうねえ、みんないい人ばかりだけど中にはイタズラする人もいてね・・・ 私達の仲間にも、首に矢がささったり、つり針が口にささったりで、大変なこともあるのよ。 でも、この沼にはねえ、花さんというおばちゃんがいてね、沼を一生懸命に守ってくれてるの。 花おばちゃんは、ママやたくさんの仲間達のために、沼をお掃除したり、植物を植えてくれたりして、毎年私達がくるのを待ってくれてるのよ〜。 まさぼう へえ、そうなんだあ。 ママ ほら、まさぼう、遠くの方からけんちゃんたちの声が聞こえてくるわ。 けんちゃんのママ 「けんちゃんや、今年もたくさん白鳥さんが来たわねえ、よーく遠くから忘れないで来てくれるよねえ。」 けんちゃん 「うん!」 まさぼう ママー、何でけんちゃんのこと知ってるの? ママ うふふ、まさぼうは覚えてないかしらねえ。まさぼうがちっちゃい時にけんちゃんととても仲良しだったのよう。けんちゃんもずいぶんと大きくなったわねえ。けんちゃんのお母さんも大切にけんちゃんのこと育ててくれたんだろうねえ。ほうら、けんちゃんが近くにやってきたわよ。 けんちゃん 「ママー、白鳥さんにパンをあげるよ〜!うわ〜白鳥さんって近くでみると大きいやあ。白鳥さん、来てくれてありがとう!ゆっくり遊んで行ってね!」 そんなけんちゃんと同じように、周りの人達も「良く来た!良く来た!」と大変喜んでいる様子です。 まさぼう ねえ、ママー、みーんない人達ばかりなのに、矢を打ったり、釣り針を捨てたりする人もいるんだねえ。 ママ そうねえ、そういう人達がいる限り、私達の仲間の中には人間が嫌いになったり、ここに来るのが嫌になることもあるのよう。 まさぼう そうなんだあ。ちょっとさみしいねえ。 ママ 去年ここに来たときに、首に矢が刺さった仲間がいたんだけど、花おばちゃんがその白鳥に優しく「矢をとってあげるから、こっちへおいで。」って話かけてくれたの。でも、その白鳥は、なかなか花おばちゃんの近くにいこうとしなかったの。そしてそれっきりその仲間は姿を消してしまったわ。きっと、人間のこと信用できなかったんでしょうねえ。 まさぼう ・・・ ママ こんなひどい目にあった白鳥たちは、二度とこの場所にはくることはないわ。そういうことが起こる場所は、毎年訪れる白鳥の数も減って行くのよねえ。 まさぼう でも、花おばちゃんみたいな優しい人がいるとうれしいねえ。 まるで自分の子供のように大切にしてくれるんだもの。 ママ ええ、花おばちゃんは、本当に優しいのよ。 去年も次の場所へ飛び立とうとしたとき、花おばちゃんは目にいっぱい涙をためていたわ。 そしてこういったの。 「心無い者がいて本当にすまないねえ。嫌な思いをさせてしまって、本当にすまないねえ・・・また来年も元気できてな。きっときてな。」 花おばちゃんは、私達を見送るために、姿が見えなくなるまで空高く手を振っていたよう。 まさぼう ママ、来年もここにこようね。 ぼく、花おばちゃんのこと好きだよ。 ママ そうだねえ。 ママも今年ここへ来て、けんちゃんが大きくなった姿を見たり、花おばちゃんが元気でいる姿を見れて、本当にうれしかったよう。 そうだ、花おばちゃんにあいさつしてきましょうね。 まさぼう うん! ママ 花おばちゃん、今年もまさぼう連れてやってきましたよ。 どうぞ今年もよろしくお願いしますね。 花おばちゃんは、白鳥のママとまさぼうのあいさつを見て、とてもニコニコしています。 「ええ、私のカワイイ子供達だからねえ。今年もきてくれて本当にありがとうねえ。」 まさぼう 花おばちゃん!お世話になります! 人と白鳥の心が綴るもの、それはとても美しく、この沼にさらに美しさを増したのでした。 |
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