鯛の活造り |
ぼくは、タイのふくちゃん。 今ぼくは、お寿司やさんの水槽の中にいるんだ。 ふくちゃんは、このお店にきてから毎日恐い思いをしてるの。 だって、お店の主人が「今日も活きのいいのたくさんありますよ〜!」ってぼくたちのこと売り込むんだ。 お店にきたお客さんも、水槽の中にいるぼくたちをジロジロ見て、次から次へと仲間を注文するんだ・・・ ぼくは何回も命びろいしたけどね。 でも、仲間が水槽の中から網ですくいあげられて、まな板の上にのせられて・・・ そして、身を切られて、お皿に盛りつけされて・・・ そんな姿になっても、仲間は、口をパクパクしてるんだよ。 今度は自分の番なのかなあっていつも生きた心地がしないんだ。 この間は、ヒヤッとしたよ。 店の主人が、ぼくのことを見てとりだそうとしたんだ。 ぼくはあわてて顔を水から出して一生懸命に首をふったんだ。 「やめて!やめて!」と。 そして主人の目を見つめて、願ったんだ。 お願いだから、やめてって。 すると主人は「今日は別のにするかあ。」って言ってくれたんだ。 今は何とか生き延びているけど、こんな生活はつらいから、夜中にこっそり逃げ出そうとしたんだ。 でも水槽から出ることができなかったんだ。 あ〜、海へ帰りたい! おかあちゃんやおとうちゃんに会いたいなあ。 いつかはぼくも仲間と同じ運命をたどるのかと思うと、悲しくてしかたない・・・ |
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